鳥取県 宝仏山
展望よい中国山地の知られざる雪山コース
意外と知られていないが、山陽と山陰とを分ける中国山地には、初級者の雪山登山に適した山々があちこちに点在している。鳥取県南西部に位置する宝仏山(ほうぶつさん・1005m)もそういった山の一つであり、高度な技術はなくとも登れ、標識も十分に整備されてルートに迷う危険性も小さい。また鉄道駅から直接登ることができる、アプローチの良さも魅力となっている。登山口近くには、冬の期間に飛来するオシドリを観察できる小屋もあるので、時間が許せば立ち寄ってみるのも面白い。
●アプローチ
JR伯備線根雨駅下車、徒歩5分で登山口。マイカーの場合は米子自動車道江府IC下車、国道181号を新見方面に向かい、船場橋交差点を左折。根雨駅前にある日野町役場の駐車場を利用可。
●コース
駅からまず、根雨商店街へ向かう。江戸時代中期には宿場町として栄えた街並みであり、本陣の門など、今でも当時の名残りを見ることができる通りだ。5分ほど歩くと左手の銀行の脇に、登山道入口を示す案内板が立っているので、それに従って小道に入る。突き当たりの階段を登ると日野町歴史民俗資料館の前に出るが、建物の右手に回り込むように進めば登山道へと入っていく。薄暗い沢沿いの道を進んで林道を横切り、スギの人工林の中のジグザグ道を登る。やがて傾斜が緩んでくると、周囲はまばらな雑木林となる。小平と呼ばれる、かつての畑地跡だ。
小平からは、右側が人工林となった東へ延びる尾根を登ると、再び傾斜が緩み、大平と書かれた標識のある平坦地へと出る。こちらはかつて、牧草地として利用されていた場所だという。その先でヒノキの植林の中の急登を進むが、思いのほか長くて体力を消耗するところだ。次第に周囲はブナやミズナラの生い茂る自然林に変わり、南北に延びる稜線の上まで登りつめる。
ここまでは積雪は少ないが、この稜線に出てからは一気に雪の量が増え、腰までのラッセルとなることも少なくない。一歩一歩確実に進み、途中の小さな露岩を慎重に越える。続く三角点ピークを過ぎて登り返せば、大きな標識の立つ頂上となる。北側に荒々しい南壁を見せて大きくそびえる大山と、その右手に険しい稜線を連ねる烏ヶ山の展望が素晴らしい。標識の10mほど先には枝を大きく広げた大ブナも立っていて、山頂のアクセントとなっている。
下山は往路を慎重に引き返す。
DATA
交通●アプローチ参照。
2万5千図●根雨
参考タイム●根雨駅(1時間)小平(30分)大平(1時間30分)宝仏山(1時間)大平(20分)小平(40分)根雨駅
問い合わせ●日野町役場☎0859-72-0331
アドバイス●ピッケルよりもストックが有効。また念のため6本爪程度のアイゼンを持参すると良い。ワカンもあれば便利だが、ラッセルが必要となる区間は短いのでツボ足でも何とかなる。防寒対策は確実に。
メモ●オシドリ観察小屋は根雨駅より日野川方向徒歩5分のところにあり、多いときは数百羽の群れを見ることができる。利用無料。
※山行日は2010年1月19日、DATA等は2011年11月時点のものであり、現在は状況が大きく変わっています。出向く際には、必ず最新情報を事前にご確認ください。