岡山県 花見山

スキーリフトを利用して中国山地の展望台へ

 鳥取県の西端に位置する日南町は、標高1000m以上の山11座を擁するが、登山の対象となるのはその一部分でしかない。特に積雪期は交通の便が悪くなり、まったく人影の見られない山がほとんどだ。岡山県との県境稜線の最高峰となる花見山(はなみやま・1188.1m)も、冬期に訪れる者は決して多くないものの、例外的にアプローチの良い山である。中国地方の雪山というと、大山と氷ノ山ばかりが取り上げられることがほとんどだが、より雪山初級者にも取り組みやすい山として紹介したい。

 中国山地では明治期までは、砂鉄に高熱を加えて鉄をとり出す「たたら製鉄」が盛んであった。花見山もそれに利用するために、古くから樹林の伐採された木無山だったという。その後、伐採斜面は放牧に利用され、現在では中国山地有数のスキー場が設置されている。その花見山スキー場がスタート地点となる。

花見山
雪に覆われた美しいブナ林を進む

 スキー場の部分は、登りはリフトを利用して一気に終点まで行ってしまおう。降りたすぐ上が花見山探勝歩道入口で、無雪期はなだらかな登山道が頂上まで続いている。積雪期はトレースがあることは少なく、ラッセルをしながら頂上を目指すことになる。北に向かう尾根を忠実に登るコースなので、ルートファインディングは容易だ。

花見山
山頂手前の広い雪面を登る

 登り出しの樹林を抜けて開けた平坦地を通過し、その先でブナやミズナラの立ち並ぶ林の中を縫うように進む。小さなピークを2つ越えると木立は途絶えて、再び開けた斜面を登るようになる。左手は日本海に注ぐ日野川流域、右手は太平洋に注ぐ高梁川流域と、分水嶺の稜線を歩く気分爽快なところだ。

花見山
エビの尻尾に覆われた山頂のあずまや

 間もなく見えてくるエビの尻尾に覆われたあずまやが、花見山の頂上。一等三角点の山であり、周囲に広がる中国山地の展望が素晴らしい。西側間近に見えるのは大倉山。形の良い山だが、これも登られることが稀な不遇なピークだ。そして北東方向には中国地方最高峰の大山がそびえるが、冬は雪雲に包まれることが多く、目にするのは難しいかもしれない。

花見山
桑平山を見ながらスキー場へ下る

 下山はリフト終点までは往路を引き返し、あとはスキー場の脇を邪魔にならないように下ると良いだろう。

DATA

日帰り◎歩行時間=2時間35分
アクセス●JR伯備線上石見駅からタクシー20分で花見山スキー場。マイカーの場合は中国自動車道新見ICから国道182号を西に向かい、県道8号を米子方面に進む。鳥取県に入ってすぐの日野街道を右に向かうと、間もなく花見山スキー場の標識が現れるので、それに従って進む。花見山スキー場は1000台駐車可、無料。
参考タイム●花見山スキー場(リフト10分、350円)花見山探勝歩道入口(1時間20分)花見山(45分)花見山探勝歩道入口(30分)花見山スキー場
2万5千図●千屋実
問い合わせ●日南町役場☎0859-82-1111、花見山観光☎0859-83-0456(スキー場)、日南交通石見営業所☎0859-83-0036(タクシー)
アドバイス●1月中旬から2月中旬頃は積雪が増え、本格的な雪山の様相となる。リフトを使って手軽に取り付けるが、防寒・防風対策はしっかりと。ピッケル・アイゼンよりは、ワカン・ストックが有効なコース。スノーシューで歩くのも快適。

※山行日は2012年冬、DATA等は2012年12月時点のものであり、現在は状況が大きく変わっています。出向く際には、必ず最新情報を事前にご確認ください。