登山に通じる面もあるケイビング(洞窟探検)の世界。

認知度が高まってきたケイビング

 洞窟探検とも呼ばれるケイビングは、とても楽しいものです。奥多摩の日原鍾乳洞などの一部の観光化されたものとは異なり、その他の数多い洞窟は、基本的に人の手は加わっていません。中は真っ暗で、足元は岩か泥。進んでいくと断崖や、人ひとりが通り抜けるのがやっとの隙間などが次々と現れます。
 それら難所を越えた先で、ヘッドランプの光に浮かび上がる地底の景観は幻想的で、山とはまた違った魅力を感じます。
 いまやインターネットで状況をほぼ完全に見渡せる山や極地とは違い、洞窟はどうなっているのか、実際に探検することでしか一切知ることができないフィールドです。

登山者のブックシェルフ第23回
私がずっと愛読してきた『ケイビング 入門とガイド』ですが、現在は絶版です。

洞窟の魅力を伝える本

 私もケイビングは大好きで、始めたのは1995年からです。その年の春に山と溪谷社から出版された『ケイビング 入門とガイド』というガイドブックを手にしたことがきっかけで、以降は関東周辺や岡山県の吉備高原など、各地の洞窟を訪ねてきました。
 しかしケイビングというのはマイナーで、山仲間を誘っても、反応は今ひとつ。行ってみたいという人は少なく、暗くて狭そうで、洞窟の何が面白いのか解らない、という返事が返ってくることがほとんどでした。
 しかし、最近はかなり認知度が高まってきました。ケイビングに関する書籍なども増えてきましたが、興味のある方は日本洞窟学会のHPをご覧いただき、洞窟の魅力に触れてみてください。

(『週刊ヤマケイ』2018年8月16日配信号に掲載)