今月の山の雑誌と書籍。

今日発売の今月の山の雑誌は、以下の『山と溪谷』に記事を書いています。

書いたのはいつもと同じ、「季節の山歩き」という地方の山を紹介するページ。
今回のテーマは「伝承や信仰にふれる畏れの山へ」ということで、東京都の今熊山を取り上げました。

江戸時代には今熊山は、行方不明者発見のご利益があるとされて、随分多くの参拝者を集めていたらしいです。
今では戸倉三山縦走の最後に通過する山といった感じですが、展望はいいですし、裏参道側には涼しげな滝もあるので、半日くらい時間があるときに登ってみても楽しいと思います。

以下に、誌面未掲載の写真を載せておきます。

それと今日はもう1冊、私が編者になっている『山岳ドクターがアドバイス 登山のダメージ&体のトラブル解決法』という本も発売になりました。
このウェブサイトでずっとお伝えしてきた、私の「著書」というのがこの本で、本文のほとんどを私が書いています。

内容は、整形外科医の小林哲士先生、柴田俊一先生、形成外科医の千島康稔先生、杉田礼典先生、皮膚科医の小阪健一郎先生、循環器内科医の市川智英の6人の医師に、登山で生じやすい体のトラブルを解決する方法を教えていただき、それをQ&A形式でお伝えするというもの。

取り上げた体のトラブルは、第1章が膝だとか腰だとか足首といった登山者の体の悩みの定番。
さらに登山中にダメージを受けることが多い、高山病、熱中症、低体温症、凍傷、皮膚系を第2章に。
あとは意外と登山者は目をそむけがちな、心臓血管系と生活習慣病を、第3章としてまとめました。

けっこう解りやすくまとめたつもりなので、実際にそれらの体の不具合に悩む人にとっては、とても役立つのではないかと思います。
さらに登山での体のトラブルの多くは、若い頃の無理の蓄積が原因になっている場合も少なくありません。
そのような部分にもできるだけ触れているので、現時点ではあまり不調を感じていない若い人が読んでも、きっと有効だと思います。
よろしかったらぜひ読んでみてください。

*  *  *

とは言っても、この本を仕上げるのは本当に大変でした。

まず、私の医療の知識は乏しくて普通のファーストエイドレベルです。
さらに、インタビューをした経験もほんの少ししかありません。
さらに私は、自分の肩書にライターとは入れているものの、正直なところコースガイドのライターであり、あとはHowtoが多少は書けるくらい。
今回のような、Q&A形式の本は書いたことがないのです。

明らかに私の能力を超えた無理な仕事だったのですが、途中で投げ出す訳にもいきません。
結局、あれこれ悩みながら、半年に渡って作業し続けることになったのです。

本業のライターで慣れた人ならば、おそらくこのような本でも、要領よくまとめられるでしょう。
しかし私のスキルではそうはできず、毎日毎日朝から晩まで、膨大な時間をかけることによって何とかまとめ上げたのでした。

この執筆期間中は、多くの皆様にご迷惑をおかけしてしまい、本当に申しわけありませんでした。

ただし、医療知識のない自分でも解るようにまとめることは強く意識したので、結果的には解りやすさはアップしたかもしれません。
専門用語も、ほとんどを私が理解できる言葉に置き換えてしまいました。
しかし各先生には何度もチェックしていただいたので、それによる誤りはないはずです。

非常にくたびれましたが、無事に発売日を迎えてこれで本当に一段落です。
この本で悩んだ日々のことはきっぱりと忘れて、これから本番を迎える夏山シーズンのガイドの仕事を、しっかりとこなしていきたいと思います!

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