『岳人』からの記事を追加

「読み物」のコーナーに、東京新聞出版部時代の『岳人』に載せた記事を3件、転載しました。

『岳人』(東京新聞)より

これらは以前のウェブサイトにも掲載していたものを、そのまま載せています。こちらのウェブサイトもページ数が少ないと寂しいので、手っ取り早くできる対策として再掲載しました。
以前にご覧いただいた方もあるかもしれませんが、暇つぶし?に読んでみてください。

この3件を書いたのは、いずれも2011年。東日本大震災があったことにより、書き手が不足したのか、私のところに長文の原稿執筆依頼が立て続けに入りました。
まあ、私も当時は今ほど他の原稿執筆の仕事はなく、登山ガイドとはいっても仕事量はごく少ない状況でした。それに比例して時間はたっぷりあったので、試行錯誤しながら何とか書き上げたのがこれらの文章です。

特に苦労したのは、「これから登りたい8座」の剣山。編集部から剣山を舞台にした宮尾登美子の小説『天涯の花』が送られてきて、その内容を盛り込むようにと指示が入ったのです。ところがこの小説、山というよりは少女の恋愛がテーマなのです。。私とは無縁なそのようなテーマを、どうやって盛り込んだらいいのかと、大変に頭を悩ましました。

「単独行」の出雲北山縦走も苦労しました。当時の私はまだ、パートナーとロープを結び合っての高難度ルートの登攀に価値を置いていて、単独でこなせるレベルの登山はランクが下と考えていたのです。
今は考えも変わってきていて、単独でなければできない登山の重要性も認識しています。
それでも、あらためてこの文章を読み返してみると、現在の考えに近いことも書いています。当時の私は45歳。もう若くはなく、20年以上の登山経験を重ねたことにより、難しいルートだけが価値があるわけではないと、意識が変わりつつあった時期なのでしょう。

いっぽう書きやすかったのは、「これから登りたい8座」の甲ヶ山。見た目はかっこいいし、登っても抜群に楽しい山なのですが、全国的にはほぼ無名です。このような立派な山を紹介できることに、喜びを感じました。

甲ヶ山
これは残雪期の甲ヶ山。右のスラブから回り込むように登ります

甲ヶ山は絶対に面白いので、ぜひ皆さんに登ってほしい山です。すぐにでもガイドプランを企画したいところですが、今年はちょっと無理でしょうね。。
また来年以降に考えます。