「ゆっくり歩く登山教室」終了。

今日、鳥取県のNHK文化センター米子教室の、「ゆっくり歩く登山教室」最後の回が実施されました。

「ゆっくり歩く登山教室」の第1回目が実施されたのは、2009年4月9日。行き先は島根県出雲北山の、鼻高山。
丸12年にも渡って実施された、多くの受講生の皆さんに支えられてきた講座でした。

ゆっくり歩く登山教室
2009年4月9日、第1回目の登山教室の様子

12年前、講師として「ゆっくり歩く登山教室」をスタートさせたのは私です。
その頃の私は、日本山岳ガイド協会の準会員に登録し、登山ガイドとしての活動をスタートさせた直後。
何とかしてガイドの仕事を軌道に乗せたいと考え、当時住んでいた鳥取県米子市のNHK文化センターに、企画を持ち込んで開講していただいたのです。

しかし最初の半年はどうにも不人気で、すぐに終了との話も出ました。
ところが半年経った2009年10月期から、受講生が急増。そのまま継続することになったのでした。

その後私は、2012年12月に一身上の理由により東京に移住しました。
それでもこの「ゆっくり歩く登山教室」の講師は続けたいと考え、月に1回、東京から米子に通う生活をすることを選びました。
けれども山陰への移動は、けっこう過酷です。
徐々に体調に支障をきたすようになってきたため、2014年9月までで米子に通うことは断念。所属する山岳会である、岳獅会のメンバーに後を託して、講師を辞することにしたのでした。
毎年、1月と8月は休講にしていたので年10回の実施、全部で55回が私が担当した回でした。

「ゆっくり歩く登山教室」のテーマの第一は、米子市や近隣にお住まいの方に、山と登山の魅力をお伝えすること。
そしてもう一つの目標が、米子市周辺には知られざる良い山があることを知り、それを登ることでした。

米子市は伯耆大山登山のベースともなる街であり、山イコール大山というお考えが、皆さんにあったと思います。
しかし山は大山だけではない、他にも良い山はたくさんあるということを、受講生の皆さんと一緒に確かめていきたいと考えたのです。

正直なところ、私も中国地方の山の知識は皆無だったのですが、様々な文献資料を確かめてこれぞと思う山を探し、必ず事前に下見をして、それから教室で皆さんと一緒に登るという過程の中で、少しずつ知識と経験とを積み上げていくことができました。
全55回の行き先は、出雲北山に始まり、中国山地、大山山系、吉備高原、岡山県南部丘陵など様々。
私自身にとっても、本当に貴重な学びの機会となった登山教室でした。

ところで、「ゆっくり歩く登山教室」が終了する理由は、NHK文化センター米子教室が今月いっぱいで営業終了することによります。

最近は東京の私の身の回りでも、営業終了する施設が目立ってきて寂しい思いを感じていたのですが、米子でも同じようなことになって、ますます寂しさが募ります。。

そのいっぽうで今日は、私が担当した2009年の第1回からの受講生の方で、登山に参加された方もあったとのこと。
最後の最後までご参加いただけたというのは、とても嬉しいことです。

実は今日は私も米子に行って、皆さんにご挨拶しよう!とも考えたのですが、首都圏が緊急事態宣言中である現状では、ちょっと無理なので諦めました。

行き先を変えてあちこち登った米子周辺の山ですが、それでも私も全てを登り尽くしたわけではありません。
NHK文化センターのキャッチフレーズは「好奇心の、その先へ」ですが、登山教室では登れなかったその先の山を登る機会も、いつか作りたいと思っています。

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